平成28年度疑義解釈その1<歯科診療報酬点数表関係>

厚生労働省ホームページ
疑義解釈資料の送付について(その1) 平成28年3月31日より
歯科診療報酬点数表関係
【初・再診料:初診料】
(問1)
自他覚的症状がなく健康診断を目的とする受診により疾患が発見された患者についての初診料の取扱いについて、「学校検診等」が削除されたが、学校検診の結果により受診した場合は初診料を算定できるのか。
(答)
初診料の取扱いは従前のとおり。
(問2)
初診料において、「歯周疾患等の慢性疾患である場合等であって、明らかに同一の疾病又は負傷に係る診療が継続していると推定される場合」は初診として扱わないとされたが、歯周疾患等の慢性疾患である場合の初診料の取扱いが変更になったのか。
(答)
初診料の取扱いは従前のとおり。
【かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所】
(問3)
かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所においてエナメル質初期う蝕に罹患している患者に対する管理を行う場合は、歯科疾患管理料のエナメル質初期う蝕管理加算により行う必要があるのか。
(答)
患者の状況に応じて、患者ごとにエナメル質初期う蝕管理加算又はフッ化物歯面塗布処置の「3 エナメル質初期う蝕に罹患している患者の場合」のいずれかを選択して差し支えない。
なお、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の施設基準の届出を行う以前にフッ化物歯面塗布処置により管理を行っていた場合については、施設基準の届出後にエナメル質初期う蝕管理加算による管理に移行しても差し支えない。
(問4)
かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所において、歯周病安定期治療を行う場合は、歯周病安定期治療(Ⅱ)により行う必要があるのか。
(答)
患者の状況に応じて、患者ごとに歯周病安定期治療(Ⅰ)又は歯周病安定期治療(Ⅱ)のいずれかを選択して差し支えない。
なお、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の施設基準の届出を行う以前に歯周病安定期治療(Ⅰ)を算定していた場合については、施設基準の届出後に歯周病安定期治療(Ⅱ)に移行しても差し支えない。
(問5)
かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の施設基準告示の(2)について、常勤歯科医師の複数名配置が必要か。また、歯科医師及び歯科衛生士がそれぞれ1名以上の配置の場合、歯科医師及び歯科衛生士ともに常勤配置が必要か。
(答)
歯科医師、歯科衛生士ともに常勤、非常勤は問わない。ただし、研修を受けた常勤歯科医師の配置は必要である。
(問6)
「疑義解釈資料の送付について」(平成20年5月9日事務連絡)にて、歯科外来診療環境体制加算の施設基準の要件となっている研修は届出日から3年以内、在宅療養支援歯科診療所の届出日から4年以内のものとされているが、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の施設基準の要件となっている研修は、いつ頃に開催された研修をいうのか。
(答)
- 現在、外来環、在宅療養支援歯科診療所の両施設基準とも届出を行っておらず、今回かかりつけ歯科医機能強化型診療所の施設基準の届出を行う場合は、いずれの研修についても届出日から3年以内のものをいう。
- 現在、外来環及び在宅療養支援歯科診療所の両施設基準の届出を行っており、研修の要件を満たしている場合は、年数を問わない。
- 外来環又は在宅療養支援歯科診療所のいずれかについて届出を行っており研修の要件を満たしている場合は、届出を行っていない施設基準の研修について届出日より3年以内のものとする。(在宅療養支援歯科診療所についても3年以内)
【医学管理:歯科疾患管理料】
(問7)
歯科疾患管理料のエナメル質初期う蝕管理加算は、エナメル質初期う蝕に罹患している歯以外の他の部位に、より進行したう蝕(エナメル質の実質欠損を伴うう蝕症第1度又はう蝕症第2度等のう蝕)に罹患している歯がある場合であっても算定できるか。
(答)
算定できる。
(問8)
歯科疾患管理料において、例えばブリッジを製作する場合で傷病名がMTのみの患者は対象となるのか。
(答)
対象となる。
(問9)
歯科疾患管理料又は歯科疾患在宅療養管理料の文書提供加算は1回目に限り算定できるのか。
(答)
文書提供加算については、1回目に限らず、歯科疾患管理料又は歯科疾患在宅療養管理料の算定にあたり、歯科疾患の管理に係る内容を文書により提供した場合に算定できる。
【医学管理:歯科衛生実地指導料】
(問10)
歯科衛生実施指導料の告示において、対象患者が「歯科疾患に罹患している患者」に変更になったが、留意事項通知は従来のままとなっていることから取扱いは従来どおり、う蝕を原因とする疾患(Pul,Per等を含む)や歯周疾患に罹患している患者が対象となると考えてよいか。
(答)
貴見のとおり。
(問11)
歯科衛生実施指導料において、「プラークチャート等を用いたプラークの付着状況の指摘」とされたが、プラークチャート以外の方法でプラークの付着状況を指摘してもよいのか。
(答)
プラークチャートを使用しなくても、例えば口腔内カメラにより患者の口腔内をモニターに映す、デジタル写真を活用する等によりプラークの付着状況が確認できれば差し支えない。
【歯科治療総合医療管理料、在宅患者歯科治療総合医療管理料】
(問12)
患者のモニタリングは、診療時間内を通じて一定間隔で、血圧、脈拍及び経皮的酸素飽和度を同時にかつ継続的に自動測定することが必要か。
(答)
処置等の実施前・実施後及び患者の状態に応じて必要時点で血圧、脈拍及び経皮的酸素飽和度を測定すること。また、患者の状態及びモニタリング結果については診療録に記載又は添付すること。
(問13)
歯科治療総合医療管理料(Ⅰ)又は歯科治療総合医療管理料(Ⅱ)、在宅患者歯科治療総合医療管理料(Ⅰ)又は在宅患者歯科治療総合医療管理料(Ⅱ)を算定する場合に、経皮的動脈血酸素飽和度測定は別に算定できるか。
(答)
算定できない。
【在宅医療:歯科訪問診療料】
(問14)
在宅歯科医療を専門で行う歯科診療所以外の歯科診療所で、在宅療養支援歯科診療所の届出を行っていない歯科診療所が歯科訪問診療を行う場合は、歯科訪問診療料の注13に関する施設基準の届出(様式21の3の2)による届出を行わないと歯科訪問診療1、2又は3の算定ができないのか。
(答)
貴見のとおり。平成29年3月31日までに届出を行うことが必要。
なお、この場合において、歯科訪問診療の実績が0人であっても差し支えない。
(問15)
病院が歯科訪問診療を行う場合に、歯科訪問診療料の注13に関する施設基準の届出(様式21の3の2)は必要か。
(答)
病院が歯科訪問診療を行う場合は、届出不要。
(問16)
特別の関係にある施設等へ訪問して歯科診療を行い初診料若しくは再診料及び特掲診療料を算定した場合において、著しく歯科治療が困難な者に対して診療を行った場合の加算は初診料の注6若しくは再診料の注4により算定するのか。又は、歯科訪問診療料の注5により算定するのか。
(答)
歯科訪問診療料の注5により算定し、診療報酬明細書の全体の「その他」欄に
当該加算の名称、点数及び回数を記載する。
(問17)
特別の関係にある施設等へ訪問して歯科診療を行い初診料若しくは再診料及び特掲診療料を算定した場合においては、その旨を診療報酬明細書の「摘要」欄に記載し、歯科訪問診療料を算定したものとみなすことができる取扱いであるが、第2章第8部処置の「通則8」、「通則9」、第9部手術の「通則14」、「通則15」及び第12部歯冠修復及び欠損補綴の「通則6」、「通則7」等においても歯科訪問診療料を算定したものとみなして差し支えないか。
(答)
差し支えない。
(問18)
特別の関係にある施設等に訪問して歯科訪問診療を行い、初診料又は再診料を算定した場合に、在宅患者等急性歯科疾患対応加算又は歯科訪問診療補助加算は算定できるか。また、訪問歯科衛生指導料は算定できるか。
(答)
算定要件を満たす場合においては、在宅患者等急性歯科疾患対応加算又は歯科訪問診療補助加算を算定可能。また、訪問歯科衛生指導料についても算定可能。
【在宅医療:歯科疾患在宅療養管理料】
(問19)
患者が入院している病院で栄養サポートチーム加算が算定されていない場合において、歯科疾患在宅療養管理料の栄養サポートチーム連携加算1は算定できるか。
(答)
算定できる。
(問20)
患者が入所している介護保険施設で経口維持加算(Ⅱ)が算定されていない場合において、歯科疾患在宅療養管理料の栄養サポートチーム連携加算2は算定できるか。
(答)
算定できる。
【在宅医療:在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料】
(問21)
在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料は、無歯顎者も対象になるのか。
(答)
摂食機能療法の対象となる患者については対象となる。
(問22)
在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料の算定にあたって、嚥下機能検査が実施されていることが必要か。
(答)
摂食機能療法と同じ取扱いである。
発達遅滞、顎切除及び舌切除の手術又は脳血管疾患等による後遺症により摂食機能に障害がある患者については、従前のとおり。
(問23)
在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料と訪問歯科衛生指導料を同日に算定することはできるか。
(答)
それぞれ算定要件を満たしている場合においては算定して差し支えない。この場合において、在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料の時間に訪問歯科衛生指導料の時間は含まれない。
(問24)
在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料に係る通知において、「当該指導管理を開始する以前に、区分番号「D002」に掲げる歯周病検査を含む歯周病の治療を実施している場合においては、当該指導管理料は算定できない。ただし、歯周病の治療を開始後に摂食機能障害に対する訓練等が必要となった場合においては、当該指導管理料を算定できる。」との記載があるが、平成28年3月以前において、摂食機能障害を有する患者であって歯周病の治療を行っている場合には、同年4月以降においても、当該管理料は算定できない取扱いとなるのか。
(答)
平成28年3月以前において、摂食機能障害を有する患者であって歯周病の治療を行っている場合には、同年4月以降において、在宅患者訪問口腔リハビリテーション指導管理料を算定して差し支えない。
【検査:歯周病検査】
(問25)
混合歯列期において、歯周基本検査で算定した場合に、算定する区分の歯数に含まれない乳歯に対しても歯周病検査は必要か。
(答)
乳歯も含めて、1口腔単位で歯周基本検査を行うことが必要である。
【検査:口腔内写真検査】
(問26)
口腔内写真検査の算定要件が「歯周病検査を行った場合において」から「歯周病検査を実施する場合において」に変更になったが、歯周病検査を算定する前に口腔内写真検査を算定しても差し支えないか。
(答)
差し支えない。ただし、1回の歯周病検査に対して、その実施前と実施後の2回算定することはできない。
【検査:歯冠補綴時色調採得検査】
(問27)
支台歯の隣在歯に天然歯がなく、対合歯にのみ天然歯がある場合は算定して差し支えないか。
(答)
色調の比較が可能な場合であれば、算定して差し支えない。
【検査:有床義歯咀嚼機能検査】
(問28)
有床義歯装着前の算定と装着後の算定が同月であった場合、同月内に2回まで算定できると考えてよいか。
(答)
貴見のとおり。
【処置:歯周病安定期治療(Ⅰ)、歯周病安定期治療(Ⅱ)】
(問29)
歯周病安定期治療(Ⅰ)、歯周病安定期治療(Ⅱ)の管理計画書の様式は歯科疾患管理料の文書提供加算時の文書に準じたもので差し支えないか。また、その場合、初回用又は継続用のどちらを使用すればよいのか。
(答)
必要に応じて、歯科疾患管理料の初回用又は継続用の様式を使用して差し支えない。
(問30)
歯周病安定期治療(Ⅰ)を算定した場合において、歯周疾患の治療を目的に行った咬合調整を算定することはできるか。
(答)
算定できない。歯周病安定期治療(Ⅱ)と同じ取扱いである。
(問31)
歯周病安定期治療(Ⅱ)は、口腔内カラー写真の撮影を行った場合に算定することとされたが、毎回全顎撮影を行うのか。
(答)
1回目は全顎の口腔内カラー写真の撮影を行い、2回目以降は管理の対象となっている部位の撮影を行う。
(問32)
歯周病安定期治療(Ⅱ)を開始する際の歯周病検査は歯周病精密検査を行うこととされ、同月に歯周病精密検査は算定できない取扱いとされたが、算定はどのように行えばよいのか。
(答)
例えば、
- 4月に歯周病精密検査を行い、その日から歯周病安定期治療(Ⅱ)を行う場合
- 4月に歯周病精密検査を行い、4月の他日から歯周病安定期治療(Ⅱ)を行う場合
については、4月は歯周病安定期治療(Ⅱ)の算定を行い、歯周病精密検査は算定できない。
また、4月に歯周病精密検査を行い、5月から歯周病安定期治療(Ⅱ)の算定を開始する場合については、4月に歯周病精密検査を算定して差し支えない。
【処置:フッ化物歯面塗布処置】
(問33)
フッ化物歯面塗布処置について「1 う蝕多発傾向者の場合」、「2 在宅等療養患者の場合」又は「3 エナメル質初期う蝕に罹患している患者の場合」は併算定できるか。
(答)
フッ化物歯面塗布処置は1口腔単位での算定となるため、併算定はできない。
【手術:抜歯手術】
(問34)
乳歯に対して難抜歯加算を算定して差し支えないか。
(答)
乳臼歯の歯根が後継永久歯の歯根を包み込んでおり、抜歯が必要と判断し、歯根分離をして乳臼歯を抜歯した場合及び骨癒着が著しく、骨の開削又は歯根分離術を行う必要性が認められる場合に限っては算定して差し支えない。
なお、算定に当たっては、診療報酬明細書の「処置・手術」欄の「その他」欄に「難抜歯加算」と記載し、点数及び回数を記載する。
【手術:歯根端切除手術】
(問35)
「歯科用3次元エックス線断層撮影装置及び手術用顕微鏡を用いた場合」について、施設基準が新設されたが、4月1日以降は届出を行った医療機関以外は算定できないのか。
(答)
貴見のとおり。
【手術:歯周外科手術】
(問36)
「6 歯肉歯槽粘膜形成手術」が歯周外科手術に入ったが、歯周疾患以外の治療として行う「ハ 歯肉弁側方移動術」及び「ニ 遊離歯肉移植術」は従前通りの取扱いと考えてよいか。
(答)
貴見のとおり。
【歯冠修復及び欠損補綴:歯冠形成】
(問37)
区分番号「M001」歯冠形成について、注の見直しで、注3が注5に変わり、「前歯の4分の3冠又は前歯のレジン前装金属冠については」が「前歯の4分の3冠又は前歯のレジン前装金属冠のための支台歯の歯冠形成」となったが、従来どおり単冠およびBrの支台歯共に加算ができると考えてよいか。
(答)
貴見のとおり。
【歯冠修復及び欠損補綴:支台築造】
(問38)
後継永久歯が先天的に欠如している乳歯に対する全部金属冠の歯冠形成、硬質レジンジャケット冠の歯冠形成及び窩洞形成については、支台築造を算定して差し支えないとなっているが、この場合に限り窩洞形成に際しての支台築造が可能と考えるのか。
(答)
貴見のとおり。
【歯冠修復及び欠損補綴:充填】
(問39)
歯の根面部のう蝕において、隣接面を含む窩洞に対する充填は「ロ 複雑なもの」により算定するとなっているが、「隣接面を含む窩洞」とは、「隣接歯との接触面を含む窩洞」又は「隣接歯との接触面を含まないが近遠心面を含む窩洞」と考えてよいか。
(答)
貴見のとおり。
【歯冠修復及び欠損補綴:金属歯冠修復】
(問40)
金属歯冠修復の「複雑なもの」が「隣接歯との接触面を含む窩洞に行うインレーをいう。」となったが、例えば最後方臼歯の遠心面など、隣接歯がない場合の近心面又は遠心面にかかる窩洞はどのような取扱いになるのか。
(答)
隣接歯がない場合であって、接触面に相当する部位(近心面又は遠心面の最大膨隆部)を含む場合においては、「複雑なもの」として差し支えない。
【歯冠修復及び欠損補綴:硬質レジンジャケット冠】
(問41)
歯科用金属を原因とする金属アレルギー患者に対して小臼歯に硬質レジンジャケット冠を装着した場合において、応分の咬合力負担に耐えられる場合についてはクラウンブリッジ維持管理料の対象となるのか。
(答)
医科からの情報提供に基づき、歯科用金属を原因とする金属アレルギー患者に対して小臼歯に硬質レジンジャケット冠を装着した場合は、咬合力負担に耐えられるかどうかに関係なく、クラウンブリッジ維持管理料の対象外となる。
【歯冠修復及び欠損補綴:有床義歯内面適合法】
(問42)
平成28年3月に新たに製作した有床義歯に対して6月以内に有床義歯内面適合法を行った場合は、所定点数の50/100に相当する点数の算定となるのか。
(答)
平成28年4月1日以降に実施する有床義歯内面適合法については、平成28年
3月31日以前に製作したものについても50/100で算定する。
【歯科矯正:歯科矯正診断料、顎口腔機能診断料】
(問43)
歯科矯正診断料及び顎口腔機能診断料の算定時期について、歯科矯正を「開始したとき」から「開始するとき」に変更になったが、開始する前に算定してもよいのか。また、模型調制については変更になっていないが、取扱いは変わらないという理解でよいか。
(答)
診断を行った時であれば、歯科矯正を実際に開始する前であっても算定して差し支えない。また、模型調制についても、歯科矯正診断料及び顎口腔機能診断料と同様の取扱いとする。
【その他】
(問44)
医科点数表の区分番号「L009」麻酔管理料(1)注4の「長時間麻酔管理加算」について、当該管理料に係る施設基準を届け出た医科歯科併設の保険医療機関において、歯科点数表の区分番号「J093」遊離非弁術又は区分番号「J096」自家遊離複合組織移植術を行うに当たって、医科点数表に掲げる区分番号「L008」マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔の実施時間が8時間を超えた場合は、当該加算を算定して差し支えないか。
(答)
差し支えない。