Ⅲ-6 口腔疾患の重症化予防・口腔機能低下への対応、生活の質に配慮した歯科医療の推進について
(1) 患者にとって安心・安全な歯科外来診療を行うための総合的な環境整備に係る取組を推進する観点から、歯科外来環境体制加算について、初診時及び再診時の評価を見直す。
(2) 全身的な疾患を有する患者に対する歯科医療の充実を図る観点から、以下のような見直しを行う。
- 全身的な疾患を有する患者の歯科治療を行う際に、治療内容等の必要に応じてバイタルサインのモニタリングを行った場合を評価する。
- 糖尿病を有する患者の歯周病治療において、歯周組織の炎症の改善を図り、歯周基本治療をより効果的に行う観点から、歯周基本治療に先行して局所抗菌剤の投与が可能となるよう、医科と歯科の連携を含めて、歯周疾患処置の算定要件を見直す。
(3) 口腔疾患の重症化を予防し、歯の喪失リスクを低減する観点から、以下のような見直しを行う。
- エナメル質初期う蝕の積極的な再石灰化を促進し、う蝕の重症化を予防する観点から、フッ化物塗布の適応の見直しを行う。
- 歯周病の重症化を予防する観点から、歯周基本治療等終了後の病状安定期にある患者に対する管理である歯周病安定期治療の算定要件を見直す。
(4) 各ライフステージの口腔機能の変化に着目して、以下のような見直しを行う。
- 有床義歯又は舌接触補助床を装着した患者に対して、口腔機能の客観的な評価を行うため、咀嚼機能検査等を実施した場合を評価する。
- 口唇口蓋裂患者に対するホッツ床等の口腔内装置の装着を行った患者に対して、当該装置に係る調整及び指導等を実施した場合を評価する。
(5) 歯科固有の技術の評価について、以下のような見直しを行う。
- マイクロスコープ(歯科用実体顕微鏡)及び歯科用3次元エックス線断層撮影を用いて歯の根管の数及び形態を正確に把握した上で根管治療を実施した場合を評価する。
- 歯科疾患管理料を含む医学管理等において、文書提供等の要件を見直し、実態に即した評価を行う。
- 抜歯手術について、抜歯部位に応じた評価となるように難抜歯の評価を見直す。
- 補綴時診断料、平行測定検査等について、臨床の実態に即した評価となるよう見直す。
- 義歯新製から6か月以内に実施する有床義歯内面適合法について、有床義歯修理の評価と整合性を図る。
- 歯科用アマルガム等、歯科医療技術の進歩に伴い実施頻度が減少している技術及び新たな材料の普及により使用頻度が減少している特定保険医療材料について、廃止を含めて見直す。その他、歯科医療の推進に資する技術については、医療技術評価分科会等の検討を踏まえつつ、適切な評価を行う。
目次
平成28年度診療報酬改定に係るこれまでの議論の整理(現時点の骨子)
Ⅰ 地域包括ケアシステムの推進と医療機能の分化・強化、連携に関する視点
- Ⅰ-1 医療機能に応じた入院医療の評価について
- Ⅰ-2 チーム医療の推進、勤務環境の改善、業務効率化の取組等を通じた医療従事者の負担軽減・人材確保について
- Ⅰ-3 地域包括ケアシステム推進のための取組の強化について
- Ⅰ-4 質の高い在宅医療・訪問看護の確保について
- Ⅰ-5 医療保険制度改革法も踏まえた外来医療の機能分化について
Ⅱ 患者にとって安心・安全で納得できる効果的・効率的で質が高い医療を実現する視点
- Ⅱ-1 かかりつけ医の評価、かかりつけ歯科医の評価、かかりつけ薬剤師・薬局の評価について
- Ⅱ-2 情報通信技術(ICT)を活用した医療連携や医療に関するデータの収集・利活用の推進について
- Ⅱ-3 質の高いリハビリテーションの評価等、患者の早期の機能回復の推進について
- Ⅱ-4 明細書無料発行の推進について
- Ⅲ-1 緩和ケアを含む質の高いがん医療の評価について
- Ⅲ-2 「認知症施策推進総合戦略」を踏まえた認知症患者への適切な医療の評価について
- Ⅲ-3 地域移行・地域生活支援の充実を含めた質の高い精神医療の評価について
- Ⅲ-4 難病法の施行を踏まえた難病患者への適切な医療の評価について
- Ⅲ-5 小児医療、周産期医療の充実、高齢者の増加を踏まえた救急医療の充実について
- Ⅲ-6 口腔疾患の重症化予防・口腔機能低下への対応、生活の質に配慮した歯科医療の推進について
- Ⅲ-7 かかりつけ薬剤師・薬局による薬学管理や在宅医療等への貢献度による評価・適正化について
- Ⅲ-8 医薬品、医療機器、検査等におけるイノベーションや医療技術の適切な評価について
- Ⅲ-9 DPCに基づく急性期医療の適切な評価について