医療法の一部を改正する法律案の概要

趣旨
医療機関相互間の機能の分担及び業務の連携を推進するため、地域医療連携推進法人の認定制度を創設するとともに、 医療法人について、貸借対照表等に係る公認会計士等による監査、公告等に係る規定及び分割に係る規定を整備する等 の措置を講ずること。
1.地域医療連携推進法人制度の創設
(1) 都道府県知事の認定
○ 地域において良質かつ適切な医療を効率的に提供するため、病院等に係る業務の連携を推進するための方針を定め、 医療連携推進業務を行う一般社団法人は、都道府県知事の認定を受けることができる。
<参加法人(社員)>
・ 病院等の医療機関を開設する医療法人等の非営利法人。
* 介護事業等の地域包括ケアシステムの構築に資する事業を行う非営利法人を加えることができる。
<主な認定基準>
・ 地域医療構想区域を考慮して病院等の業務の連携を推進する区域を定めていること。
・ 地域の関係者等を構成員とする評議会が、意見を述べることができるものと定めていること。
・ 参加法人の予算、事業計画等の重要事項について、地域医療連携推進法人の意見を少なくとも求めるものと定めてい ること。
* 都道府県知事の認定は、地域医療構想との整合性に配慮するとともに、都道府県医療審議会の意見を聴いて行う。
(2) 実施する業務
○ 病院等相互間の機能の分担及び業務の連携の推進(介護事業等も含めた連携を加えることができる。)。
○ 医療従事者の研修、医薬品等の供給、資金貸付等の医療連携推進業務。
* 一定の要件により介護サービス等を行う事業者に対する出資を可能とする。
(3) その他
○ 代表理事は都道府県知事の認可を要することとするとともに、剰余金の配当禁止、都道府県知事による監督等の規定に ついて医療法人に対する規制を準用。
○ 都道府県知事は、病院等の機能の分担・業務の連携に必要と認めるときは、地域医療構想の推進に必要である病院間 の病床の融通を許可することができる。
2.医療法人制度の見直し
(1) 医療法人の経営の透明性の確保及びガバナンスの強化に関する事項
○ 事業活動の規模その他の事情を勘案して厚生労働省令で定める基準に該当する医療法人は、厚生労働省令で定める会計基準(公益法人会計基準に準拠したものを予定)に従い、貸借対照表及び損益計算書を作成し、公認会計士等による監査、公告を実施。
○ 医療法人は、その役員と特殊の関係がある事業者との取引の状況に関する報告書を作成し、都道府県知事に届出。
○ 医療法人に対する、理事の忠実義務、任務懈怠時の損害賠償責任等を規定。理事会の設置、社員総会の決議による役員の選任等に関する所要の規定を整備。
(2) 医療法人の分割等に関する事項
医療法人(社会医療法人その他厚生労働省令で定めるものを除く。)が、都道府県知事の認可を受けて実施する分割に関する規定を整備。
(3) 社会医療法人の認定等に関する事項
○ 二以上の都道府県において病院及び診療所を開設している場合であって、医療の提供が一体的に行われているものとして厚生労働省令で定める基準に適合するものについては、全ての都道府県知事ではなく、当該病院の所在地の都道府県知事だけで認定可能。
○ 社会医療法人の認定を取り消された医療法人であって一定の要件に該当するものは、救急医療等確保事業に係る業務の継続的な実施に関する計画を作成し、都道府県知事の認定を受けたときは収益業務を継続して実施可能。
3.施行期日等
○ 公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、2(1)(一部)、(2)、(3)については、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
○ 政府は、この法律の施行後5年を経過した場合において、この法律による改正後の医療法の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずる。
地域医療連携推進法人制度について(概要)
医療機関相互間の機能の分担及び業務の連携を推進し、地域医療構想を達成するための一つの選択肢として、地域医療連携推進法人の認定制度を創設する。
これにより競争よりも協調を進め、地域において質が高く効率的な医療提供体制を確保。