3 リハビリテーションマネジメントにおけるリハビリテーション計画書の作成について

厚生労働省ホームページ:リハビリテーションマネジメント加算等に関する基本的な考え方並びにリハビリテーション計画書等の事務処理手順及び様式例の提示についてより
⑴ リハビリテーション計画書の作成又は変更についての留意事項
① リハビリテーションマネジメントにおける計画書の作成又は変更に当たっては、医師の指示、利用者等の生活の希望や生活機能の状況等を踏まえ、リハビリテーションの目標、当該目標を達成するための具体的なサービスの内容等を記載したリハビリテーション計画書を作成すること。
なお、既に居宅サービス計画等が作成されている場合は、当該計画書の内容に沿って作成することに留意すること。
② リハビリテーション会議を開催し、利用者の状況等に関する情報を、構成員と共有するよう努めること。
③ リハビリテーション計画書の作成のために診療を行った医師は、利用者又はその家族に対して、日常生活能力の改善の見通しなどを踏まえた上で、当該計画書の内容を適切に説明し、同意を得ること。
なお、同意が得られる前に当該サービスを利用する場合については、PT、OT又はSTが当該計画書の原案について利用者又はその家族に説明を行い、同意を得るよう努めること。
④ 訪問リハビリテーション計画又は通所リハビリテーション計画の作成に当たっては、リハビリテーション計画書の記載要領や様式を参考に作成して差し支えないこと。
⑤ 居宅基準第 81 条第5項又は第 115 条第6項に基づく一体的な計画の作成に当たっては、別紙様式3を参考にして作成して差し支えないこと。
その場合には、通所リハビリテーション事業所で実施する内容、訪問リハビリテーション事業所で実施する内容が分かるように記載し、一連のサービスとして提供できるよう、リハビリテーション計画書に記載するよう努めること。
ただし、訪問リハビリテーションと通所リハビリテーションで提供される内容が同じであることは想定されないため、同一の内容を提供する場合は、その理由を記載することが望ましい。
⑵ リハビリテーション計画書の記載要領
① リハビリテーションマネジメントにおけるリハビリテーション計画書の様式は、別紙様式1、別紙様式2及び別紙様式3を標準として作成するものであること。
② 別紙様式1(興味・関心チェックシート)に関して
別紙様式1(興味・関心チェックシート)に関しては、利用者が日常生活上実際にしていること、実際にしてはいないがしてみたいと思っていること、してみたいまでは思わないものの興味があると思っていることに関して、利用者の記入又は聞き取りにより作成すること。
③ 別紙様式2(リハビリテーション計画書(アセスメント))に関しては、別紙様式2の内容を参考に、下記の項目を主に把握すること。
イ) 居宅サービス計画の総合的援助の方針及び居宅サービス計画の解決すべき課題
リハビリテーション計画は居宅サービス計画の一環として位置づけられることから、居宅サービス計画の総合的援助の方針と解決すべき課題を該当箇所に居宅サービス計画から転記すること。
ロ) ご本人の希望及びご家族の希望
別紙様式1で把握した、利用者がしてみたい又は興味があると答えた内容に関して、利用者に確認の上、該当項目を該当箇所に転記する。家族の希望に関しては、利用者の家族が利用者関して特に自立してほしいと思っている項目又は今後の生活で送ってほしいと希望する内容に該当する項目を具体的に確認した上で、該当箇所に転記すること。
ハ) 健康状態
原疾患名、当該疾患の発症日、経過、合併症の有無とそのコントロールの状況、廃用症候群の有無及びリハビリテーションを実施する際の医学的管理の状況等を該当箇所に記載すること。
ニ) 参加状況
過去と現在の参加の状況(家庭内での役割の有無や余暇活動、社会活動及び地域活動への参加等)を聞き取り、また当該取組みを今後継続する意向があるかどうか確認すること。
さらに、サービス利用終了後の生活に関して、利用者及びその家族と共有するために、通所リハビリテーション利用終了後に利用を希望する社会資源等に関して聞き取ること。
ホ) 心身機能
現在の心身機能(運動機能、感覚機能、疼痛、口腔機能、栄養又は見当識等)について、機能障害の有無を確認する。機能障害があった場合、活動への影響の有無を確認する。
なお、該当項目に無い項目に関して障害を認める場合は、特記事項に記載すること。
へ) 活動の状況
現状、その予後予測及び改善可能性について該当箇所に記載すること。
課題の重要性については、現状と予後予測に乖離があることや利用者又はその家族の意向が強いこと等を踏まえつつ、優先的に取り組むべき課題から順番に、数字を記入すること。
また、評点については、リハビリテーション計画書の見直しごとに、以下の通り、各活動の状況の評価を行い記入すること。
a 基本動作
居宅を想定しつつ、寝た状態からの起き上がり、立位保持、床からの立ち上がり歩行の状態を評価する項目である。自立している場合は3を、見守りの場合は2を、一部介助している場合は1を、全介助の場合は0を記載する。
移動能力については、6 分間歩行又は Times up Go Test(TUG)の客観的測定値を記入する。
b ADL(Barthel Index を活用)
下記を参考に評価を行い、該当箇所に記載すること。
動作 | 選択肢 | |
1 | 食事 | 10 自立 5 部分介助 0 全介助 |
2 | イスとベッド間の移乗 | 15 自立 10 最小限の介助 5 部分介助 0 全介助 |
3 | 整容 | 5 自立 0 部分介助又は全介助 |
4 | トイレ動作 | 10 自立 5 部分介助 0 全介助 |
5 | 入浴 | 5 自立 0 部分介助又は全介助 |
6 | 平地歩行 | 15 自立 10 部分介助 5 車いす使用 0 その他 |
7 | 階段昇降 | 10 自立 5 部分介助 0 全介助 |
8 | 更衣 | 10 自立 5 部分介助 0 全介助 |
9 | 排便コントロール | 10 自立 5 部分介助 0 全介助 |
10 | 排尿コントロール | 10 自立 5 部分介助 0 全介助 |
c IADL(Frenchay Activity Index を活用)
下記を参考に評価を行い、該当箇所に記載すること。
1 | 食事の用意(買い物は含まれな い) | 0 していない 1 まれにしている2 時々(週に1~2 回)3 週に3回以上している |
2 | 食事の片づけ | 0 していない 1 まれにしている2 時々(週に1~2 回)3 週に3回以上している |
3 | 洗濯 | 0 していない 1 まれにしている2 時々(週に1~2 回)3 週に3回以上している |
4 | 掃除や整頓(箒や掃除機を使っ た清掃や身の回りの整理整頓な ど) | 0 していない 1 まれにしている2 時々(週に1~2 回)3 週に3回以上している |
5 | 力仕事(布団の上げ下げ、雑巾 で床を拭く、家具の移動や荷物 の運搬など) | 0 していない 1 まれにしている2 時々(週に1~2 回)3 週に3回以上している |
6 | 買物(自分で運んだり、購入す ること) | 0 していない 1 まれにしている2 時々(週に1~2 回)3 週に3回以上している |
7 | 外出(映画、観劇、食事、酒飲 み、会合などに出かけること) | 0 していない 1 まれにしている2 時々(週に1~2 回)3 週に3回以上している |
8 | 屋外歩行(散歩、買物、外出等の ために少なくとも 15 分以上歩く こと) | 0 していない 1 まれにしている2 時々(週に1~2 回)3 週に3回以上している |
9 | 趣味(テレビは含めない) | 0 していない 1 まれにしている2 時々(週に1~2 回)3 週に3回以上している |
10 | 交通手段の利用 (タクシー含 む) | 0 していない 1 まれにしている2 時々(週に1~2 回)3 週に3回以上している |
11 | 旅行 | 0 していない 1 まれにしている2 時々(週に1~2 回)3 週に3回以上している |
12 | 庭仕事(草曳き、水撒き、庭掃除) ※ベランダ等の作業も含む | 0 していない 1 時々している2 定期的にしている3 定期的にしている。必要があれば掘り起し、 植え替え等の作業もしている |
13 | 家や車の手入れ | 0 していない 1 電球の取替・ねじ止めなど2 ペンキ塗り・模様替え・洗車3 2の他、家の修理や車の整備 |
14 | 読書(新聞・週刊誌・パンフレッ ト類は含めない) | 0 読んでいない 1 まれに2 月に一回程度3 月に2 回以上 |
15 | 仕事(収入のあるもの、ボランテ ィアは含まない) | 0 していない 1 週に1~9 時間2 週に10~29時間3 週に30 時間以上 |
d その他
服薬管理については、自立している場合は3を、見守りの場合は2を、一部介助の場合は1を、全介助の場合は0を記載する。また、長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)については、その得点を記載すること。
ト) 環境因子
家族・介護者、福祉用具等、住環境、自宅周辺の環境、地域の社会資源の有無、利用者が利用できる交通機関の有無、その他のサービスの課題など環境の因子に課題があった場合、該当箇所にチェックする。
なお、具体的に記載すべき課題がある場合は備考欄に記入すること。
チ) 特記事項
イからトの項目以外に記入すべき事項があった場合は、特記事項に記載すること。
リ) 「活動」と「参加」に影響を及ぼす課題の要因分析
本人が希望する活動と参加に対し、能力及び生活機能の予後予測を踏まえてリハビリテーションに関して解決すべき課題を分析し、支援の必要性に関する内容を、簡潔にまとめた上で記載すること。
ヌ)他の利用サービス
リハビリテーション会議への参加を求める等、連携が必要なサービスを把握するため、居宅サービス計画に位置付けられているサービスとその利用頻度について、介護支援専門員から情報を把握し該当箇所に記入すること。
④ 別紙様式3(リハビリテーション計画書に関して)
別紙様式3を参考に、リハビリテーションの提供計画、利用中の具体的対応、また、必要な場合は他の居宅サービスとの協働内容等について、以下の通り、該当箇所にチェックを入れた上で記入を行うこと。
なお、当該計画書は、計画書の作成日と見直しの予定時期を記載した上で、その完結の日から2年間保存するものであること。
イ) リハビリテーションサービス
別紙様式2で優先順位をつけた目標を、その順位に沿って転記した上で、目標達成までの期間、具体的支援内容、実施者(利用者、PT、OT又はST等)、サービス提供の予定頻度、時間及び訪問の可能性について記載すること。
具体的支援内容については、リハビリテーション会議を通して検討し、利用者又はその家族が合意した提供内容について、該当するものにチェックをする。
なお、生活行為向上リハビリテーションを実施する場合は、「生活行為向上リハ」にチェックした上で、別途、別紙様式6の「生活行為向上リハビリテーション実施計画書」を作成すること。
また、利用者の家族や居宅サービス計画に位置付けられている他の居宅サービスの担当者と利用者の居宅に訪問を行う場合、その助言内容についても、あらかじめ分かる範囲で記載すること。
さらに、居宅や通所施設以外でリハビリテーションを実施する場合には、あらかじめその目的、内容、場所についても記載すること。
ロ) 利用中の具体的対応
通所リハビリテーションを提供する場合のみ、具体的な提供内容に関するタイムスケジュールやケアの提供方法を記入すること。
また、訪問介護や訪問看護、他の居宅サービスとの協働の必要性についても検討し、必要な場合はその支援方針や支援内容について記載すること。
へ) 情報提供先
リハビリテーション計画書は、介護支援専門員や居宅サービス計画に位置付けられている居宅サービスの担当者と、その写しを共有すること。
また、当該計画に関する事項を情報提供をした場合は、該当の情報提供先にチェックをすること。
ト) リハビリテーション計画書の保存
リハビリテーション計画書は2年間保存すること。
チ) リハビリテーション計画書を利用者又はその家族に説明した場合は、その日付を記載すること。