2015年4月6日

2 リハビリテーションマネジメント加算について

厚生労働省ホームページ:リハビリテーションマネジメント加算等に関する基本的な考え方並びにリハビリテーション計画書等の事務処理手順及び様式例の提示についてより

⑴ リハビリテーションマネジメント加算の算定上の留意事項

① リハビリテーションマネジメントは、利用者全員に対して実施し、利用者ごとにケアマネジメントの一環として行われることに留意すること。

② 各施設・事業所における管理者は、リハビリテーションマネジメントに関する手順をあらかじめ定めること。

③ リハビリテーションマネジメントは、SPDCAサイクルの構築を通じて、リハビリテーションの質の管理を行うものである。
したがって、事業所における多職種協働の体制等が異なることに鑑み、リハビリテーションマネジメントの加算の種類を選択すること。

④ リハビリテーションマネジメントについては、本加算を初めて算定するに当たって同意を得た日の属する月から適応されることから、リハビリテーションマネジメント加算(Ⅰ)を算定した場合は、リハビリテーションマネジメント加算(Ⅱ)を、リハビリテーションマネジメント加算(Ⅱ)を算定した場合は、リハビリテーションマネジメント加算(Ⅰ)を算定することはできない。

⑤ リハビリテーションマネジメント加算(Ⅱ)の算定において、当該計画に係る利用者の同意を得た日の属する月から起算して6月間を超えた場合であって、通所リハビリテーションのサービスを終了後に、病院等への入院又は他の居宅サービス等の利用を経て、同一の通所リハビリテーション事業所を再度利用した場合は、リハビリテーションマネジメント加算(Ⅱ)⑴を再算定することはできず、リハビリテーションマネジメント加算(Ⅱ)⑵を算定するものであることに留意すること。
ただし、病気が再発するなどにより入院が必要になった状態又は医師が集中的な医学的管理を含めた支援が必要と判断した等の状態の変化に伴う、やむを得ない理由がある場合は、この限りでない。

⑵ リハビリテーションマネジメント加算

(Ⅰ)の算定に関してリハビリテーションマネジメント加算(Ⅰ)の算定におけるリハビリテーションを実施する際には、以下の点に留意すること。

① サービス開始時における情報収集

指定訪問リハビリテーション及び指定通所リハビリテーションの事業者は、医師より利用者のこれまでの医療提供の状況について、また、介護支援専門員より支援の総合方針、解決すべき課題及び短期目標について情報を入手すること。
また、別紙様式1を活用し、利用者が希望する日常生活上の活動や参加の内容を把握すること。

② サービス開始時におけるアセスメント

利用者に関する収集した情報を踏まえ、医師、理学療法士(以下「PT」という。)、作業療法士(以下「OT」という。)又は言語聴覚士(以下「ST」という。)は、リハビリテーションに関する解決すべき課題の把握(アセスメントという、以下同じ。)を行うこと。
なお、アセスメントに当たっては、別紙様式2の様式例を参照の上、作成すること。

③ リハビリテーション計画書の作成

イ) リハビリテーション計画書の作成に当たっては、別紙様式3の様式例を参照の上、医師、PT、OT、ST及び関連スタッフが参加するリハビリテーション会議を開催し、アセスメントに基づいて、目標、実施期間、リハビリテーションの具体的な内容、短期集中個別リハビリテーション実施加算や認知症短期集中リハビリテーション実施加算等の加算の算定の有無、リハビリテーションの提供時間、実施頻度、リハビリテーション提供中の具体的な対応(通所リハビリテーションのみ)等を定めたリハビリテーション計画書について検討を行うこと。
なお、居宅サービス計画の変更が生じる場合は、速やかに介護支援専門員に情報提供を行うこと。

ロ) 医師、PT、OT又はSTは、リハビリテーション計画書について、利用者の担当介護支援専門員に情報提供を行うこと。

④ リハビリテーション計画書の利用者及び家族への説明

リハビリテーション計画書については、医師、PT、OT又はSTが利用者又はその家族に説明を行い、同意を得ること。

⑤ リハビリテーションの実施

イ)医師又は医師の指示を受けたPT、OT若しくはSTは、利用者ごとのリハビリテーション計画書に従い、理学療法、作業療法、言語聴覚療法などのリハビリテーションを実施すること。

ロ)PT、OT又はSTは、介護支援専門員を通じて、指定訪問介護その他の指定居宅サービスに該当する事業に係る従業者に対し以下の情報を伝達する等、連携を図ること。

  • 利用者及びその家族の活動や参加に向けた希望
  • 利用者の日常生活能力を維持又は向上させる介護の方法及びその留意点
  • その他、リハビリテーションの観点から情報共有をすることが必要な内容

ハ)指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(以下、「居宅基準」という。)第83条又は第119条において準用する第19条に規定するサービスの提供の記録において、利用者ごとの訪問リハビリテーション計画又は通所リハビリテーション計画に従い、医師の指示を受けたPT、OT又はSTが利用者の状態を定期的に記録する場合は、当該記録とは別にリハビリテーションマネジメン

ト)加算の算定のために利用者の状態を定期的に記録する必要はないものであること。

⑥ 通所リハビリテーションを新規で開始した日から 1 月前以内に居宅を訪問し行う評価について

新規にリハビリテーション計画書を作成した利用者については、事業所の医師又は医師の指示を受けたPT、OT又はSTが、当該計画書に従い、通所リハビリテーションの実施を開始した日から起算して 1 月以内に、利用者の居宅を訪問し、診療、運動機能検査、作業能力検査等を行う。

⑦ モニタリングの実施

イ)リハビリテーション計画書は、初回はサービス提供開始からおおむね2週間以内、その後はおおむね3月ごとにアセスメントとそれに基づく計画書の見直しを行うものであること。

退院(所)後間もない場合、利用者及びその家族が在宅生活に不安がある場合又は利用者の状態が変化する等の理由でリハビリテーション計画書の見直しが必要になった場合は、適宜当該計画書の見直しを行うこと。

目標の達成状況やADL及びIADLの改善状況等を評価した上で、再度アセスメントを行い、サービスの質の改善に関する事項も含めたリハビリテーション計画書の変更の必要性を判断すること。

リハビリテーション計画書の進捗状況について評価し、見直された計画書は、3月ごとに担当介護支援専門員等に情報を提供するとともに、必要に応じて居宅サービス計画の変更を依頼すること。

リハビリテーション計画書の変更が生じた場合は、利用者及びその家族に説明し、同意を得ること。

⑧ サービスの利用終了時の説明等

イ) サービスの利用が終了する1月前以内に、医師、PT、OT及びSTによるリハビリテーション会議を行うことが望ましい。
その際、終了後に利用予定の介護支援専門員や他の居宅サービス事業所のサービス担当者、介護予防・日常生活支援総合事業を利用する際はその担当者等の参加を求めるものであること。

ロ) 利用終了時に、介護支援専門員や医師に対し、リハビリテーションに必要な観点から情報提供を行うこと。

⑨ リハビリテーションマネジメント加算(Ⅰ)の届出

リハビリテーションマネジメント加算(Ⅰ)の取得に当たっては、訪問リハビリテーション計画又は通所リハビリテーション計画を利用者やその家族に説明し、利用者の同意を得た日の属する月から算定が可能となる。
したがって、当該月の前月の 15 日までに届出が必要であるため、同意の見込みをもって届け出ることは差し支えないが、万一その後に同意を得られず、算定月の変更が見込まれる当該計画の見直しが必要となった場合には、すみやかに加算等が算定されなくなった場合の届出を行う必要がある。

⑶ リハビリテーションマネジメント(Ⅱ)の算定に関して

リハビリテーションマネジメント加算(Ⅱ)におけるリハビリテーションは、リハビリテーション会議の開催を通じて、多職種の協働による継続的なリハビリテーションの質の管理に加え、退院(所)後間もない者や新たに要介護認定等を受けた者の生活の不安に対して、健康状態、生活の見通し及び計画の内容等を医師が、利用者又は家族に説明することを評価したものである。
リハビリテーションマネジメント(Ⅱ)を算定する際には、リハビリテーションマネジメント(Ⅰ)の要件に加えて、以下に留意すること。

① リハビリテーション計画書の作成

イ) リハビリテーション会議の開催に関しては、以下の点に留意すること。

利用者及び家族の参加を基本とし、構成員による多職種協働により、リハビリテーション会議を開催すること。

リハビリテーション会議では、アセスメント結果などの情報の共有、多職種協働に向けた支援方針、リハビリテーションの内容、構成員間の連携等を協議するよう努めること。

リハビリテーション会議の記録は、別紙様式4を参照し、会議出席者の所属(職種)や氏名を記載すること。
次いで、リハビリテーションの方針(サービス提供終了後の生活に関する事項を含む。)、リハビリテーションの内容、各サービス間の協働の内容について検討した結果を記載すること。その上で、次回の開催予定を記載すること。
作成した会議録は介護支援専門員をはじめ、居宅サービス計画に位置付けられた居宅サービスの担当者と共有を図ること。
当該記録は利用者毎に2年間保存するものであること。

リハビリテーション会議に、家庭内暴力等により利用者やその家族の参加が望ましくない場合又は家族が遠方に住んでいる等によりやむを得ず参加ができない場合は、その理由を会議録に記載すること。
また、リハビリテーション会議の開催の日程調整を行ったが、構成員の事由等により、構成員が参加できなかった場合にはその理由を会議録に記録するとともに、欠席者には計画書及び会議録の写しを提供する等、情報の共有を図ること。

ロ) リハビリテーション会議では、利用者の必要に応じて、短期集中個別リハビリテーション、認知症短期集中リハビリテーション、生活行為向上リハビリテーションを実施することについても検討すること。

② 利用者又はその家族への説明

医師は、利用者又はその家族に対し、利用者の健康状態、日常生活能力の評価及び改善の可能性、当該計画の目標、提供内容、目的、リハビリテーションに必要な環境の整備、療養上守るべき点並び将来的な生活の状態等について、リハビリテーション会議で説明し、同意を得ること。
また、医師がやむを得ない理由等によりリハビリテーション会議を欠席した場合は、リハビリテーション会議以外の機会を通して、利用者又はその家族に対して、当該計画を説明し、同意を得ること。

③ リハビリテーションの実施

イ) 介護支援専門員に対し、リハビリテーションに関する専門的な見地から、利用者の有する能力、自立のために必要な支援方法及び日常生活上の留意点に関する情報提供を行う場合には、以下の内容を盛り込むことが望ましい。

  •  利用者や家族の活動や参加に関する希望及び将来利用を希望する社会参加に資する取組
  •  利用者の基本的動作能力、応用的動作能力及び社会適応能力等の日常生活能力並びにその能力の改善の可能性
  •  利用者の日常生活能力を維持又は向上させる介護の方法及び留意点
  •  家屋等の環境調整の可能性及び家具や調理器具等の生活用具の工夫
  •  その他リハビリテーションの観点から情報共有をすることが必要な内容

ロ)PT、OT又はSTは、利用者の居宅を訪問し、その家族に対して、利用者の基本的動作能力、応用的動作能力及び社会適応能力、その能力の改善の可能性、生活環境に応じた日常生活上の留意点並びに介護の工夫等の情報について助言指導を行うこと。
又は、居宅サービス計画に位置付けられた指定訪問介護等の居宅サービスの従事者と利用者の居宅を訪問し、当該従事者に対し、利用者の基本的動作能力、応用的動作能力及び社会適応能力、それらの能力の改善の可能性、生活環境に応じた日常生活上の留意点並びに介護の工夫等の情報について助言指導を行うこと。

ハ) 通所リハビリテーションにおけるリハビリテーションマネジメント加算(Ⅱ)においては、利用者の状態の悪化等の理由から通所リハビリテーションのサービスの利用がない月においても、PT、OT又はSTが利用者の居宅を訪問し、利用者やその家族、介護支援専門員にリハビリテーション及び廃用症候群を予防する専門的な見地から、介護の工夫に関する指導及び日常生活上の留意点等について助言を行った場合は算定できるものであること。
その場合、助言を行った内容の要点を診療記録に記載すること。

④ モニタリングの実施

イ)リハビリテーション計画書は、訪問リハビリテーションにおいてはおおむね3月に1回、通所リハビリテーションにおいては、利用者の同意を得てから6月以内はおおむね1月に1回、6月超後は3月に1回、リハビリテーション会議の開催を通して、進捗状況を確認し、見直しを行うこと。

ロ)包括報酬である認知症短期集中リハビリテーション加算(Ⅱ)を算定する場合は、利用者の認知症の状態に対し、支援内容や利用回数が妥当かどうかを確認し、適切に提供することが必要であることから1月に1回はモニタリングを行い、通所リハビリテーション計画を見直し、医師から利用者又はその家族に対する説明し、同意を得ることが望ましい。

ハ)生活行為向上リハビリテーションを提供する場合は、目標が達成する期限に向けて、計画書の進捗の評価や利用者又はその家族に生活行為を行う能力の回復程度など状況の説明が重要であることから1月に1回はモニタリングを行い、リハビリテーション実施計画(以下「生活行為向上リハビリテーション実施計画書」という。)を見直し、医師から利用者又はその家族に対する説明し、同意を得ることが望ましい。

⑤ リハビリテーションマネジメントにおけるプロセス管理

リハビリテーションマネジメントの徹底を図るため、リハビリテーションマネジメント加算(Ⅱ)を算定する場合は、別紙様式5に示すプロセス管理票を活用して、SPDCAの行程管理を以下の手順により実施する。

イ)サービス開始時における情報収集

事業者は、医師から利用者のこれまでの医療提供の状況について、介護支援専門員からは支援の総合方針や解決すべき課題、短期目標について情報を入手する。
入手した場合は該当箇所にチェックすること。

ロ)リハビリテーション会議の開催によるリハビリテーション計画書の作成

リハビリテーション会議を開催した場合は、開催日付を記載するとともに参加者に○をつけること。

ハ)医師によるリハビリテーション計画の利用者・家族への説明

医師からの説明があり、利用者から同意が得られた場合、該当箇所にチェックをする。
なお、説明後に利用者又はその家族からリハビリテーション計画書の変更又は計画書に関しての意見があった場合は、その旨を記載し、必要に応じて計画書を見直すこと。

ニ)リハビリテーション計画書に基づくリハビリテーションの提供

リハビリテーションプログラムの内容について検討し、実施した内容について、該当箇所にチェックをすること。

ホ) リハビリテーション会議の実施と計画の見直し

リハビリテーション会議を開催し、計画の見直しを行った場合、その実施日を記入すること。

へ)訪問介護の事業その他の居宅サービス事業に係る従業者に対する日常生活上の留意点、介護の工夫等の情報伝達指定訪問介護又はその他の居宅サービスの担当者に対し、リハビリテーションの観点から、日常生活上の留意点及び介護の工夫等の助言を行った場合、その実施日を記入すること。

ト) 居宅を訪問して行う介護の工夫に関する指導等に関する助言の実施

利用者の居宅を訪問し、介護の工夫に関する指導等に関する助言の実施した場合、その実施日を記入すること。

チ) サービスを終了する1月前以内のリハビリテーション会議の開催サービス終了する1月前以内にリハビリテーション会議を実施した場合は、該当箇所にチェックを行い、参加者に○をつけること。

リ) 終了時の情報提供

終了時、リハビリテーションの情報を提供した場合は、その提供者の該当箇所にチェックをすること。

ヌ) プロセス管理表の保管

プロセス管理表は、利用者ごとにリハビリテーション計画書と一緒に保管すること。

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