平成26年診療報酬改定 疑義解釈資料その8

医科診療報酬点数表関係
【入院基本料】
(問1)特定集中治療室管理料の届出病床に入院する患者で、当該管理料を算定せず、7対1入院基本料を算定している場合は、一般病棟用の重症度、医療・看護必要度で評価してもよいのか。
また、該当患者割合の計算に含めなくても良いのか。
(答)当該管理料を算定する治療室に入院する患者については、「特定集中治療室用の重症度、医療・看護必要度」で評価を行い、また、該当患者割合の計算式に含めなければならない。
(7対1入院基本料の届出病床以外に入院している患者で7対1入院基本料を算定している場合、7対1入院基本料の該当患者割合の計算式に含めることはできない。)
(問2)一般病棟用の重症度、医療・看護必要度の「A モニタリング及び処置等」の専門的な治療・処置の「⑨抗血栓塞栓薬の持続点滴の使用」について、ここで言う「持続点滴」とは、ワンショットで行うような注射ではなく、点滴で行っていれば良いと解釈すれば良いか。
(答)貴見のとおり。ワンショットで行う静脈内注射は含まない。
【急性期看護補助体制加算】
(問3)急性期看護補助体制加算について、所定労働時間が週32時間未満の非常勤の看護補助者の勤務時間数も、看護補助者の勤務時間数の合計に算入してもよいか。
(答)急性期看護補助体制加算の看護補助者の算出方法については、「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(平成26年3月5日保医発0305第1号)の別添7の様式9のとおりであるが、「看護補助者の月延べ勤務時間数の合計/(日数×8時間)」により、「月平均1日当たり看護補助者配置数」を算出するものであり、「看護補助者の月延べ勤務時間数の合計」には、非常勤の看護補助者の勤務時間数を算入しても差し支えない。
【特定集中治療室管理料】
(問4)疑義解釈資料の送付について(その2)(平成26年4月4日事務連絡)における「特定集中治療に習熟していることを証明する資料」について、「日本集中治療医学会等の関係学会が行う特定集中治療に係る講習会を受講していること、および特定集中治療に係る専門医試験における研修を含むものとする。」とあるが、日本集中治療医学会が行う、MCCRC( MultiprofessionalCritical Care Review Course )in JAPAN、大阪敗血症セミナー、リフレッシャーセミナー又は終末期医療における臨床倫理問題に関する教育講座は、実講義時間として合計30時間以上行われた場合は、当該研修要件に該当するか。
(答)該当する。
ただし、当該研修にくわえ、特定集中治療に係る専門医試験における研修も行っていることが必要であることに留意されたい。
【地域包括ケア病棟入院料・地域包括ケア入院医療管理料】
(問5)診断群分類点数表に従って診療報酬を算定していた患者が、同一保険医療機関内の地域包括ケア入院医療管理料を算定する病室に転棟・転床した場合は、診断群分類点数表に定められた入院日Ⅲまでの間は、診断群分類点数表に従って診療報酬を算定することと規定されているが、当該患者は、地域包括ケア入院医療管理料の施設基準における重症度、医療・看護必要度の算定に含まれるか。
(答)含まれる。
【短期滞在手術等基本料】
(問6)短期滞在手術等基本料を算定する患者が、7対1入院基本料を届け出ている病棟に入院する場合、当該患者は、7対1入院基本料の施設基準における重症度、医療・看護必要度の算定に含まれるか。
(答)含まれない。
【地域包括診療加算・地域包括診療料】
(問7)A001 再診料に係る地域包括診療加算、およびB001-2-9 地域包括診療料の施設基準にある「慢性疾患の指導に係る適切な研修を修了した医師(以下「担当医」という)」について、どのような研修が対象となるのか。
(答)高血圧症、糖尿病、脂質異常症及び認知症を含む複数の慢性疾患の指導に係る研修であり、服薬管理、健康相談、介護保険、禁煙指導、在宅医療等の主治医機能に関する内容が適切に含まれ、継続的に2年間で通算20時間以上の研修を修了しているものでなければならない。
従って、初回に届出を行ったあとは、2年毎に届出を行うこと。また、原則として、e-ラーニングによる研修の受講は認めない。
なお、当該研修は複数の学会等と共同して行われるものであっても差し支えない。
(問8)A001 再診料に係る地域包括診療加算、およびB001-2-9 地域包括診療料の慢性疾患の指導に係る適切な研修について、継続的に研修を受けていることが必要であるとされているが、2年毎に、服薬管理、健康相談、介護保険、禁煙指導、在宅医療等の主治医機能に関する内容を含む20時間以上の研修を受けなければいけないのか。
(答)そのとおり。
届出時から遡って2年の間に当該研修を受ける必要がある。
(問9)A001 再診料に係る地域包括診療加算、およびB001-2-9 地域包括診療料の慢性疾患の指導に係る適切な研修について、日本医師会が主催する日本医師会生涯教育制度に係る研修を受講し、平成26年12月に日医生涯教育認定証を受領した医師については、平成27年3月31日以降も適切な研修を修了したものと考えてよいか。
(答)そのとおり。
ただし、日本医師会生涯教育制度に係る研修について、日医生涯教育認定証を受領した後であっても、初回の届出以外は、2年間で通算20時間以上の研修を受講すること。
また、20時間の講習の中には、カリキュラムコードとして29認知能の障害、74高血圧症、75脂質異常症、76糖尿病を含んでおり、それぞれ1時間以上の研修を受講しなければならず、かつ服薬管理、健康相談、介護保険、禁煙指導、在宅医療等の主治医機能に関する内容が適切に含まれていなければならない。
さらに、届出にあたっては、当該研修を受講したことを証明する書類を提出すること。
なお、4つのカリキュラムコード以外の項目については、例外としてe-ラーニングによる受講であっても差し支えない。
なお、平成26年12月の日医生涯教育認定証を受領していない場合であっても、2年間で通算20時間以上の研修を受講している場合は、地域包括診療加算及び地域包括診療料の施設基準にある慢性疾患の指導に係る適切な研修を修了した者とみなす。
ただし、20時間の講習の中には、カリキュラムコードとして29認知能の障害、74高血圧症、75脂質異常症、76糖尿病を含んでおり、それぞれ1時間以上の研修を受講しなければならず、かつ服薬管理、健康相談、介護保険、禁煙指導、在宅医療等の主治医機能に関する内容が適切に含まれていなければならない。
さらに、届出にあたっては、当該研修を受講したことを証明する書類を提出すること。
なお、4つのカリキュラムコード以外の項目については、例外としてe-ラーニングによる受講であっても差し支えない。
今後、他の関係団体等が慢性疾患の指導に係る研修を実施するまでの当面の間、当該要件を満たすことを必要とする。
【暦月で3か月を超えない期間の1割以内の一時的な変動】
(問10)施設基準通知の届出受理後の措置等において、暦月で3か月を超えない期間の1割以内の一時的な変動であれば、その都度の届出は必要ない旨記載されているが、地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料)1において在宅等へ退院した患者の割合が、70%を下回った場合は、1割の範囲であれば3か月まで猶予されると理解して良いか。
(答)在宅等退院患者割合については、暦月で3か月を超えない期間の1割以内の一時的な変動の場合は届出を要しない旨の規定は適用されない。
(問11)①精神科救急入院料、精神科急性期治療病棟入院料、精神科救急・合併症入院料の施設基準における新規患者割合及び在宅移行率は届出受理後の措置等の暦月で3か月を超えない期間の1割以内の一時的な変動の場合は届出を要しない旨の規定が適用されるか。
②また、精神病棟入院基本料及び精神療養病棟入院料の精神保健福祉士配置加算の在宅移行率についてはどうか。
(答)①適用される。精神科救急入院料等の新規患者割合、在宅移行率については、1割以内の一時的な変動により基準を下回った場合は3か月まで届出が猶予される。
②適用されない。
【胃瘻造設時嚥下機能評価加算】
(問12)胃瘻造設時嚥下機能評価加算の算定に当たって、内視鏡下嚥下機能検査による嚥下機能評価を実施する場合に修了すべき研修の要件はどのようなものか。
(答)ここでいう研修とは、医療関係団体等が主催する5時間以上(休憩時間及び③の演習時間を除く。)の研修であって、内視鏡下嚥下機能評価検査及び摂食機能療法について、10年以上の経験を有する医師が監修を行った、嚥下機能評価及び摂食機能療法のための専門的な知識・技術を有する医師の養成を目的とした研修をいう。
その際、講義及び演習により、次のすべての内容を含むものであること。
①嚥 下 機能 及 び嚥 下 障 害に 係る 総 論
②嚥 下 造影 等 によ る 嚥 下障 害の 評 価・ 診 断 方法
③内 視 鏡下 嚥 下機 能 評 価検 査の 実 施方 法 。 この 際、 被 験者 に 対 して 挿入 ・ 観 察 を 行 う 演 習 を 行 う こ と 。 な お 、 被 験 者 に つ い て は 、 健 常 者で も差 し 支え な い 。( 施 設 基 準 の 届 出 の 時 点 で 、 D299 喉 頭 フ ァ イ バ ー ス コ ピ ー 又 は D298- 2 内 視 鏡 下 嚥 下 機 能 検 査 を 診 療 と し て 実 施 し て い る 経 験 を 5年 以 上有 して い る場 合 に おい ては 、 当該 演 習 は省 略で き る)
④内 視 鏡下 嚥 下機 能 評 価検 査動 画 を用 い た 所見 評価
⑤摂 食 機能 療 法( 嚥 下 訓練 を含 む 。) の 実施 方 法
⑥摂 食 機能 療 法( 嚥 下 訓練 を含 む 。) の 効果 評 価方 法
なお、修了証が交付されるものであることとし、研修の講師のうち、監修者が適当と認めた者については、修了証を交付した上で、研修を受講したとみなせるものとする。
【その他】
(問13)人工肩関節用材料・リバース型を用いた人工肩関節置換術等の術中に、解剖学的理由等によりリバース型組み合わせの設置が困難であると判断された場合に、緊急的に従来型の組み合わせに切り換えるために使用したステムヘッドに係る費用はどのように算定するのか。
(答)「059オプション部品 (5)人工肩関節再置換用ステムヘッド」を使用した場合は、当該機能区分により算定する。
(問14)「106 微線維性コラーゲン」に該当する製品で、薬事法承認又は認証上、容量(ml)のみが規定されている製品を使用した場合はどのように算定すればよいか。
(答)容量(ml)当たりの重量(g)を踏まえ、使用した重量に応じて算定する。
医科診療報酬点数表関係(DPC)
(問1-2)DPC対象病院において、がんの未告知の患者等の場合であっても、入院診療計画を説明する際に診断群分類区分を説明しなければならないのか。
(答)診療上差し支えが生じる場合等については、個別に判断して対応すること。
(問5-8)第2部入院料等の通則8に掲げる栄養管理体制に係る減算に該当する場合、特定入院期間中は当該機能評価係数Ⅰを合算して包括算定するが、特定入院期間を超えた日以降は医科点数表に基づき1日につき40点を減じて算定するのか。
(答)そのとおり。
調剤報酬点数表関係
【衛生材料等の支給】
(問1)在宅訪問薬剤管理指導を行っている患者については、医療機関からの指示に基づき、薬局から当該患者に衛生材料を供給した場合、指示があった医療機関に当該材料に係る費用を請求でき、その価格については、薬局における購入価格を踏まえ、保険医療機関と保険薬局との相互の合議に委ねているところであるが、特定保険医療材料となっていない保険医療材料(例えば注射針)についても衛生材料と同様の取扱いと考えてよいか。
(答)貴見のとおり。
(問2)外来患者については、疑義解釈資料の送付について(その1)(平
成24年3月30日事務連絡)において、自己注射に用いる針が特定保険医療材料として設定されていない場合には、医療機関において針を支給することとされており、衛生材料や特定保険医療材料以外の保険医療材料を用いる場合も、原則として医療機関から必要な量の当該材料が提供されるものと考えられるが、自己注射に用いる針等を在宅自己注射に用いる薬剤と一緒に交付するよう処方せんに記載されていた場合においては、自己注射に用いる針等の費用の取扱いについては、在宅患者における取扱いと同様と考えてよいか。
(答)貴見のとおり。
医科診療報酬点数表関係(訪問看護)
【精神科訪問看護・指導料】
(問1)「「医療保険と介護保険の給付調整に関する留意事項及び医療保険と介護保険の相互に関連する事項等について」の一部改正について」第4の7では、「精神疾患を有する患者であり、精神科訪問看護指示書が交付された場合は、要介護被保険者等の患者であっても算定できる。ただし、認知症が主傷病であって精神科訪問看護指示書が交付された患者については算定できない。」とされたが、精神科訪問看護・指導料の算定にあたっては、自院の訪問看護を担当する看護師等に精神科訪問看護指示書を交付しなければならないと解することになるか。
(答)当該医療機関の診療録等に、精神科訪問看護指示書に含まれる以下の内容の記載があればよい。
・主たる傷病名、現在の状況、精神科訪問看護に関する留意事項及び指示事項。
【精神科訪問看護基本療養費】
(問2)精神科訪問看護基本療養費を算定する場合に、届出基準として求められている「(4)専門機関が主催する精神科訪問看護に関する知識・技術の習得を目的とした20時間以上の研修」に、一般社団法人全国訪問看護事業協会が主催している「精神訪問看護集中講座」、「精神科訪問看護基本療養費算定要件研修会」、公益財団法人日本訪問看護財団が主催している「精神障害者の在宅看護セミナー」、一般社団法人日本精神科看護協会が主催している「精神科訪問看護研修会~基礎編~」は、該当するか。
(答)該当する。当該研修は主催者である専門機関から修了証が発行されるものであることに留意されたい。
【別表7に掲げる疾病等の者】
(問3)「疑義解釈資料の送付について(その1)(平成26年3月31日付事務連絡)」問10において、SASに対するASVやCPAPは、別表7の「人工呼吸器」には含まれないと整理されたが、慢性心不全の患者の場合は、「人工呼吸器」に含まれるのか。
(答)「在宅人工呼吸指導管理料」、「人工呼吸器加算の2」を算定している場合は、表7に掲げる疾病等の者の「人工呼吸器」に含まれることとする。
なお、この取り扱いにより、保険種別が変更となる場合は、次回の介護保険のケアプラン見直し(1ヶ月間)までの間に変更すること。
療養担当規則関係
【経済上の利益の提供による誘引の禁止】
(問1)「保険医療機関及び保険医療養担当規則」、「保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則」の改正により、
・ 保険医療機関は、事業者又はその従業員に対して、患者を紹介する対価として金品を提供することその他の健康保険事業の健全な運営を損なうおそれのある経済上の利益を提供することにより、患者が自己の保険医療機関において診療を受けるように誘引してはならない。
・ 保険薬局は、事業者又はその従業員に対して、患者を紹介する対価として金品を提供することその他の健康保険事業の健全な運営を損なうおそれのある経済上の利益を提供することにより、患者が自己の保険薬局において調剤を受けるように誘引してはならない。
とされたが、趣旨如何。
(答)一部の保険医療機関等において、集合住宅等に入居する患者の紹介を受け、患者紹介料を支払った上で、訪問診療等を行っている事例があった。これらの事例については、
・ 特定の保険医療機関等への患者誘導につながる蓋然性が高く、患者が保険医療機関等を自由に選択できる環境を損なうおそれがあること
・ 患者を経済上の取引の対象としており、保険医療機関等による過剰な診療等につながり、保険診療そのものや保険財源の効果的・効率的な活用に対する国民の信頼を損なうおそれがあること等の問題がある。
保険医療機関等は患者が自由に選択できるものである必要があり、また、健康保険事業の健全な運営を確保する必要があること等から、今回の改正において、保険医療機関又は保険薬局が、事業者又はその従業者に対して、患者を紹介する対価として、患者紹介料等の経済上の利益を提供することにより、患者が自己の保険医療機関又は保険薬局において診療又は調剤を受けるように誘引することを禁止したものである。
(問2)「保険医療機関及び保険医療養担当規則」、「保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則」の改正により、患者紹介料の支払いが禁止されたが、禁止行為に該当するかどうかについて、どのような基準で判断されるのか。
(答)今回の改正により、基本的には、
① 保険医療機関又は保険薬局が、事業者又はその従業員に対して、患者紹介の対価として、経済上の利益の提供を行うこと
② ①により、患者が自己の保険医療機関又は保険薬局において診療又は調剤を受けるように誘引すること
のいずれにも該当する場合は、禁止行為に該当すると判断される。
①については、患者紹介の対価として、経済上の利益が提供されているか否かで判断されるものである。
患者紹介とは、保険医療機関等と患者を引き合わせることであり、保険医療機関等に患者の情報を伝え、患者への接触の機会を与えること、患者に保険医療機関等の情報を伝え、患者の申出に応じて、保険医療機関等と患者を引き合わせること等も含まれる。
患者紹介の対象には、集合住宅・施設の入居者だけでなく、戸建住宅の居住者もなり得るものである。
経済上の利益とは、金銭、物品、便益、労務、饗応等を指すものであり、商品又は労務を通常の価格よりも安く購入できる利益も含まれる。
経済上の利益の提供を受ける者としては、患者紹介を行う仲介業者又はその従業者、患者が入居する集合住宅・施設の事業者又はその従業者等が考えられる。
禁止行為に該当すると判断されることを避ける意図をもって、外形的には、経済上の利益の提供を患者紹介の対価として明示しないことも予想される。
例えば、訪問診療の広報業務、施設との連絡・調整業務、訪問診療の際の車の運転業務等の委託料に上乗せされている場合、診察室等の貸借料に上乗せされている場合も考えられ、契約書上の名目に関わらず、実質的に、患者紹介の対価として、経済上の利益が提供されていると判断される場合は、①に該当するものとして取り扱うものである。
このため、保険医療機関等が支払っている委託料・貸借料について、患者紹介の対価が上乗せされていると疑われる場合は、当該地域における通常の委託料・貸借料よりも高くはないこと、社会通念上合理的な計算根拠があること等が示される必要がある。
また、患者紹介を受けており、保険医療機関等が支払っている委託料・貸借料について、診療報酬の一定割合と設定されている場合は、実質的に、患者紹介の対価として支払われているものと考えられる。
同様に委託料・貸借料について、患者数に応じて設定されている場合は、業務委託・貸借の費用と患者数が関係しており、社会通念上合理的な計算根拠があること等が示される必要がある。
集合住宅・施設に入る保険医療機関等を決定・制限することができる者が、保険医療機関等に対して診療又は調剤に必ずしも必要ではない業務委託・貸借を条件として求めている場合は、患者紹介の対価として委託料・貸借料が支払われている蓋然性が高いと考えられる。
②については、①により、患者が自己の保険医療機関又は保険薬局において診療又は調剤を受けるように誘引しているか否かで判断されるが、保険医療機関又は保険薬局が、患者紹介を受けて、当該患者の診療又は調剤を行っている場合は、基本的には、②に該当するものと考えられる。
なお、これについては、訪問診療の同意書、診療時間、診療場所、診療人数等も参考にするものである。
(問3)集合住宅の入居要件として、併設された診療所の月2回以上の訪問診療を受けることを入居者に求め、保険医療機関が入居者に一律に訪問診療を行うことは、健康保険法上、認められるのか。
(答)集合住宅の入居要件として、特定の保険医療機関の訪問診療を受けることを入居者に求め、保険医療機関が入居者に一律に訪問診療を行うことについては、訪問診療は通院が困難な患者に対してその状態に応じて行うものであること、「保険医療機関及び保険医療養担当規則」において「居宅における療養上の管理及び看護は、療養上適切であると認められる場合に行う」とされていること、保険医療機関は患者が自由に選択できるものである必要があること等から、あってはならないものである。
(問4)集合住宅の関連会社が、入居者に訪問薬剤管理指導を行う保険薬局を実質的に決定している。保険薬局が、当該関連会社から、一部負担金の患者からの徴収業務、コンサルタント業務、広告掲載業務等を委託することが求められ、委託料を支払っている場合は、患者紹介料の支払いの禁止に該当するのか。
(答)集合住宅に入る保険薬局を決定することができる者が、保険薬局に対して調剤に必ずしも必要ではない業務委託を条件として求めている場合は、患者紹介の対価として委託料が支払われている蓋然性が高く、基本的には、患者紹介料の支払いの禁止に該当するものと考えられる。
(問5)集合住宅に併設された診療所が、集合住宅から、診察室等を貸借し、貸借料を診療報酬の一定割合と設定して支払っている場合は、患者紹介料の支払いの禁止に該当するのか。
(答)診察室等の貸借料に患者紹介の対価が上乗せされている場合も考えられ、契約書上の名目に関わらず、実質的に、患者紹介の対価として、経済上の利益が提供されていないかどうかを確認する必要があり、診療所が支払っている貸借料について、患者紹介の対価が上乗せされていると疑われる場合は、当該地域における通常の貸借料よりも高くはないこと、社会通念上合理的な計算根拠があること等が示される必要がある。
また、診療所が支払っている貸借料について、診療報酬の一定割合と設定されている場合は、実質的に、患者紹介の対価として支払われているものと考えられる。
(問6)施設から仲介業者に、歯科訪問診療を行う保険医療機関の紹介が依頼され、仲介業者が紹介した保険医療機関が入居者に歯科訪問診療を行っている。
保険医療機関が、仲介業者に、歯科訪問診療の広報業務、施設との連絡・調整業務、歯科訪問診療の際の車の運転業務等を委託しており、委託料を患者数に応じて設定して支払っている場合は、患者紹介料の支払いの禁止に該当するのか。
(答)歯科訪問診療の広報業務、施設との連絡・調整業務、歯科訪問診療の際の車の運転業務等の委託料に患者紹介の対価が上乗せされている場合も考えられ、契約書上の名目に関わらず、実質的に、患者紹介の対価として、経済上の利益が提供されていないかどうかを確認する必要があり、保険医療機関が支払っている委託料について、患者紹介の対価が上乗せされていると疑われる場合は、当該地域における通常の委託料よりも高くはないこと、社会通念上合理的な計算根拠があること等が示される必要がある。
また、保険医療機関が支払っている委託料について、患者数に応じて設定されている場合は、業務委託の費用と患者数が関係しており、社会通念上合理的な計算根拠があること等が示される必要がある。
厚生労働省ホームページ『疑義解釈資料の送付について(その8)平成26年7月10日』より
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