サービスを主体とする企業のWebマーケティング

自社の商品の提供をする為には、ターゲットとなる顧客に認知してもらう事から始まり、『欲しい』という欲求を刺激する訴求が必要不可欠です。
これをWebマーケティングで行うにあたっては、消費者ニーズをリサーチし、ターゲットを絞って、検索キーワードを強化していく方法が効率的である事は前回お伝え致しましたが、商品ではなく『サービス』の場合はどうなるのでしょうか。
サービスの概念は売買した後にモノが残らず、効用や満足などを提供する、無形財のこととされています。
サービスの主体は行為であり、その満足度を追求するものですが、有形のものを含んだトータル的な事が多い事から、少し複雑な要素を持ちます。
例えば、結婚式場について考えますと、儀式を演出する為の満足を求めたサービスが主体ですが、料理や建物・空間・立地条件などのサービスを実現するための物的環境が欠かせないものもあります。
また、喫茶店は、コーヒーが欲しいという顧客に対してはコーヒーという『商品』を提供するわけですが、おしゃれであり、ステータスと考えられるスターバックスのような店舗はどちらかというとサービスが主体の業態とも考えられます。
顧客満足度を求めるサービスをマーケティングする場合は、ニーズというものはかなり広く考える事が必要です。
医療機関や飲食店、美容室、クリーニング店など、顧客がそこへ行く事ではじめてサービスの提供が出来るという特性をもちますので、地域に密着した立地が前提としてあるサービスと考えれます。
この顧客が行くという行為があってはじめて成り立つという事を考えると、検索キーワードは『場所』というものは外せません。
そのサービスの競合性にもより、その商圏範囲は変わってきますが、検索ユーザーは優先順位として『場所』を検索することにより、そのエリアの情報を多く含んだページは表示順位が上がります。
ですから、良くあるサービスで『食べログ』や『ホットペッパー』などのエリア情報検索サイトは、このエリア情報(住所データベース)を多く持っていますので、上位表示されています。
また、場所については、YahooでもGoogleでも登録さえすれば、場所を表示してくれる機能もありますので、検索ユーザーが『近い』という事を最優先にするのならば、それでOKとも言えます。
しかし、あくまでもサービスの提供となりますと、『近い』が最優先順位とはならないでしょう。
立地条件の優先順位を下げるニーズの追求
サービスの内容にもよりますが、例えば『球場で野球を観たい』という欲求に対するサービスは、野球・球場というキーワードが出てきますが、その欲求を満たすものが、応援チーム・好きな選手・相手チームなど特定されるものであれば、そのサービスは限定もされてきますので、『近い』というキーワードはほとんど関係の無いものとなります。
いわゆる、『特定されたサービス』=特徴=差別化であり、ここに顧客ニーズを拾い上げる事がサービスマーケティングには必要となってまいります。
顧客ニーズを追求する事が出来れば、多少遠くてもサービスを求める顧客は増えてまいりますので、商圏エリアは広くなります。
サービスというのは、『満足度』が最重要視される指標と考えられます。
飲食店の場合ですと、料理(平均的な味と価格というケース)の提供を前提に、自分の時間を楽しむ事や、会話を楽しめる事という一人客なのか複数客なのかという設定や、コンパ等の賑やかさや、じっくり会話が出来る空間設定により、ターゲットが変わってきます。
『多くのお客様にご利用頂きたい』という気持ちがあるがゆえに、あえてターゲットを絞らないという戦略もありますが、サービスのブレとなってしまい、ファンを作れない結果につながりかねません。
満足度は、料理が味も価格も平均的であれば、その他の付加価値で判断され、顧客が想像した設定(期待)を超えた時に高くなります。
『大盛り』という事でいうと、想像を超えたボリュームであれば、完食か残すかは別にして、そのインパクトにより満足度が上がります。
このインパクトというものを模索する事で、サービスの追求にもなってきます。
しかし、接客という事を考えた場合は非常に難しいものです。
以前、マクドナルドで『スマイル=¥0』というキャッチコピーからうまれたサービスがありましたが、インパクトもあり大変好評だった半面、期待しすぎた客からクレームとなったり、従業員が辛い思いをしたりという事が話題となりました。このように接客サービスを前面に押し出す事で、期待度が上がってしまい、満足度のハードルも上がってしまう事も考えれます。
では、どのように顧客満足のサービスを具体化していくのでしょうか。
サービスを模索する大前提は、ターゲットを絞った戦略をとった自社のサービスに顧客が何を求めているのか(個性)を分析し、それを前面に押し出すことです。
1/4インチのドリルの話でも、まず商品を作り市場に出しヒットしたが、売れた理由は違うところにあったという事にあてはめますと、
①開業した(市場に出した)
②店舗に来客した(売れた)
③顧客の評価を解析(穴が欲しかったから買った)
④方向性の確立(穴の開いた板を販売しよう)
という形になります。
この③顧客評価の解析をどのようにするかという事ですが、実際に飲食店などでは、顧客アンケートに協力したり、覆面調査をしたりとありますが、それとは別にWebで行う事も可能なのです。
とはいっても、実際に顧客からコメントで意見を求める事ではなく、目指しているものを強調してページに記載する事で、アクセスログ解析にはヒントが表示されてきますので、市場調査が可能となってくるのです。
例えば、美容室などは、髪の悩みを解決するために取り組んでいるサービスをページに記載しますと、顧客ニーズがキーワードとして表示されてくるのです。
『襟足が上手く決まらない』『サイドのボリュームがまとまらない』など顧客の悩みが見てとれてきます。
そのようなニーズに応えて、その美容室なら『このようにします』という記事を実際に接客する意味を込めて記載しページを増やしていき、さらに検索表示されるページも増えて充実してきます。
そうすることによって、そのお店の特徴(個性)というものが表現され、認知され、宣伝として効果が発揮出来てくるのです。
また、美容室はオシャレなイメージを表現するために店舗名を外来語にしてロゴもこだわったりしますので、地域では店舗名は認知されていないケースも考えられますが、だからこそ、店舗名検索ではなく、サービスによる検索でヒットさせるWebの効果は高いと考えられます。